少子高齢化や価値観の多様化によって、採用市場は厳しくなっています。「なかなか求める人材と出会えない……」と感じている採用担当者は多いのではないでしょうか。
一方、求職者目線に立つと、SNSの普及もあって、企業の情報を得やすい時代になりました。SNSを積極的に活用して、採用成果を上げている会社も珍しくありません。自社を知ってもらうためにも、まずは興味を持ってもらうための情報発信が大切です。
そこで注目されているのが「オウンドメディアリクルーティング」です!従来の手法に比べて、柔軟な情報発信ができるため、自社に合う求職者とのマッチングが期待できます。
本記事では、オウンドメディアリクルーティングのメリットや具体的な活用方法、参考事例もご紹介していますのでぜひご覧ください!
目次
オウンドメディリクルーティングとは?
まずはオウンドメディアリクルーティングの定義を確認します。オウンドメディアリクルーティングは英語だと「Owned Media Recruiting」と書き、「オウンドメディア」と「リクルーティング」を組み合わせた言葉です。
「オウンドメディア」は「自社で保有するメディア」を指し、「リクルーティング」は採用活動です。
つまり、「オウンドメディア」(自社のウェブサイトやSNSなど)を活用した採用活動が、オウンドメディアリクルーティングと呼ばれています。
オウンドメディアリクルーティングの7つのメリット
オウンドメディアリクルーティングには、多くのメリットがあります。
- 求める人材と、出会う機会が増える。
- 求める人材との、マッチング精度が向上する。
- 自社の魅力を伝えるための、コンテンツを自由に配置できる。
- 急な変更や更新にも対応できる。
- より詳細に情報を伝えることで、競合他社との差別化を図れる。
- 掲載期間の制限を受けずに情報発信できる。
- サイトのアクセスを解析し、自社で改善できる。
求人情報掲載サイトや、人材紹介サービスと比べた場合、特にマッチング精度の向上やコンテンツの自由度は大きな魅力です。
企画・運用・管理といった手間はかかりますが、そういったコストを考慮しても、効果が期待できる採用手法です。
オウンドメディアリクルーティングの構成要素
オウンドメディアを有効活用するためには、その構成要素を知っておくことが重要です。オウンドメディアに必要なコンテンツを分類し、その役割を明確にすることで、オウンドメディアの作り方や活用方法が見えてきます。
重要なコンテンツは大きく2つに分けられます。それは「ジョブディスクリプション」と「シェアードバリューコンテンツ」です。
ジョブディスクリプション
ジョブディスクリプション(job description)は日本語で職務記述書と訳されます。欧米では、日常業務をはじめ、採用や評価もジョブディスクリプションをもとに行われます。企業にとっても求職者にとっても非常に重要なドキュメントと認識されています。
具体的には以下のような項目について、詳細に記述されています。
- 職務のポジション名
- 業務の目的
- 業務上の責任内容と範囲
- 求められるスキルや技能
- 必要な資資格
特に、業務の内容や範囲は詳細に記述されています。
対して、日本ではジョブディスクリプションに相当するものはありませんでした。似たようなものに採用の募集要項がありますが、会社によって情報の粒度にばらつきがあり、具体的な業務内容は採用後に決まることが一般的でした。
職務内容が明示されている雇用制度を「ジョブ型雇用」と呼び、雇用後に具体的な業務に割り振られる雇用制度を「メンバーシップ型雇用」と呼びます。
事業内容や社風にも依るため、一概にどちらが良いとは言えませんが、近年では日本でもジョブ型採用を取り入れる企業が増えています。
昨今の求職者にとって、「望む業務に携われるか?」や「どのようなスキルが身に着けられるか?」という観点が重要視されているからです。
文字数や表示形式を自由に組めるオウンドメディアは、ジョブディスクリプションを掲示する場所として最適です。より具体的で充分な情報を発信できれば、「業務やスキルにおけるミスマッチを減らす効果」が期待できます!
シェアードバリューコンテンツ
シェアードバリューコンテンツ(Shared Value Contents)は、自社の魅力や風土などじ、会社が大切にしている価値観を求職者と共有するコンテンツです。
給与や待遇は求職者にとって重要ですが、必ずしも最優先とは限りません。価値観が多様化している昨今においては、求職者ごとに仕事に求めるものが違っています。「働きやすさ」や「社会貢献できるか」といった観点は、特に重要と言われています。
求職者が自分の価値観と合っているか確認するためには、まずは会社が自社の価値観を発信しなければなりません。
シェアードバリューコンテンツはさらに2つに分けられます。
パーパスコンテンツ
パーパスコンテンツ(purpose contents)は企業の存在意義を示すコンテンツです。以下のようなコンテンツが該当します。
- 企業理念
- ミッション・ビジョン・バリュー
- 代表者のメッセージ
多くの企業において、パーパスコンテンツはコーポレートサイトに配置されていますが、採用サイトでも、会社の存在意義や社会的価値を表明することが大切です。会社の理念やビジョンに共感した求職者が応募を決意する決定打になり得るからです。
オウンドメディアを運用していれば、単にパーパスを明文化するだけでなく、パーパスに基づいた事業や業務への取り組みを発信できます。採用サイト公開時の情報ではなく、直近の様子を求職者に伝えることで、より深く自社を理解し、共感を得られるでしょう。入社後のギャップを軽減し、離職率低減にも効果が期待できます。
カルチャーコンテンツ
カルチャーコンテンツ(culture contents)は企業文化・社風・行動様式・行動規範などを示すコンテンツです。以下のようなコンテンツが該当します。
- 社員のインタビュー
- プロジェクトストーリー
- オフィス環境
- 組織データのグラフ(例:平均年齢、男女比)
- 福利厚生・社内制度
- キャリアプラン
- 日常的な社内のイベント
職場がどのような雰囲気で、どのような考えを持った人たちが働いているのか、求職者は知りたいと思っています。カルチャーコンテンツが充実していれば、求職者は入社後の働き方をイメージできます。
社内では当たり前と思っていることでも、同業他社にはない魅力があるかもしれません。カルチャーコンテンツを考えることは、社員に改めて自社の魅力を知ってもらう機会にもなり得ます。
パーパスコンテンツよりも柔軟にコンテンツを制作できるため、社内でアイデアを募ってみると良いでしょう。
オウンドメディアリクルーティングの事例を3つ紹介
最後に、オウンドメディアリクルーティング活用事例を3つ紹介します。
GMOペパボ株式会社
GMOペパボ株式会社はレンタルサーバーの「ロリポップ!」やネットショップ運営の「カラーミーショップ」など、複数のインターネット関連サービスを提供しています。
採用サイトはシンプルなデザインで、求職者が求めている情報を見つけやすい導線設計になっています。
職種ごとのジョブディスクリプションは詳細に記載されているだけでなく、先輩社員へのインタビューやコラムへのリンクも設置されており、求職者の知りたい情報へアクセスしやすくなっています。
働く環境のコンテンツも充実しており、入社後の姿がイメージしやすくなっています。全体的に丁寧な作りで、求職者に安心感を与えるオウンドメディアです。
株式会社アトリエはるか
株式会社アトリエはるかはヘアメイク・ネイルサロンの運営、化粧品・化粧雑貨・装飾雑貨の販売などの事業を展開しています。
採用サイトは非常にクオリティの高いビジュアルイメージを全面に打ち出しており、求職者に強い印象を残すデザインになっています。
社員インタビューでは社員ひとりひとりが魅力的に見える写真が用意されており、入社後の経歴や普段の業務の様子も見られるようになっています。直近に入社した社員のページも用意されており、オウンドメディアならではの新鮮な情報が提供されています。
ビジュアルイメージだけでなく、文化や制度を紹介するコンテンツからも社風が伝わるようになっています。女性社員が多いため、自社のデータは「産休・育休復帰率」や「お母さんスタッフ数」など、らしさが伝わる項目になっています。
インフラテック株式会社
https://recruit.infratec.co.jp/
インフラテック株式会社は建築・土木工事やインフラ製品の製造販売事業を展開しています。
採用サイトはカラフルな色使いで一見すると賑やかな印象ですが、ヘッダーやフッター、ボタンはシンプルなモノトーンで、メリハリの利いたデザインになっています。
ナビゲーションを見ると、コンテンツがカテゴリーごとに整理されているため、初めて訪れた人が気になる情報にアクセスしやすい設計になっています。
レイアウトや文章はシンプルで可読性が高く、複数の動画も効果的に利用されています。求職者が入社後の姿をイメージしやすいですね。
まとめ
この記事ではオウンドメディアリクルーティングのメリットや構成についてご紹介しました。
オウンドメディアリクルーティングを活用することで、より自社に合う人材とマッチできると感じていただけたら幸いです。
オウンドメディアリクルーティングは、導入を検討するだけでも良い議論になります。この機会にまずはオウンドメディアの導入を社内で検討してみてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただきありがとうございました!