中小企業が生き残るための採用戦略-求職者を集める秘訣-

採用難という名の荒波を乗り越え、輝く未来代

様々な業界の中小企業経営者や採用責任者とお話しさせていただくと、かなりの割合で2つの問題を抱えていらっしゃいます。

  1. 人材が定着してくれない。
  2. 採用希望者を集めることができない。

今回は2つめの求職者を集めるための秘訣についてお届けします。「1.人材が定着してくれない」についてはコチラから記事をご覧いただけます。

採用の実態

求職者を集めるために、多くの企業で採用メディアや人材紹介サービスを利用したり、並行してリファラル採用を行ったりして求職者を集めています。

大企業と比べて知名度や資金力で劣る中小企業にとって、欲しい人材を獲得することは容易ではありません。

以下は新卒採用のデータですが、従業員300人未満の中小企業では有効求人倍率が6倍を超えており、2021年のコロナ禍で減少して以来は増加傾向に転じています。(図1参照)

(図1)

この傾向は中途採用でも同様の傾向が見られるかと思います。

ましてや即戦力となり得る優秀な人材は各社がこぞって採用したい人材ですので、新卒採用以上にハードルが高いかもしれません。

ではどのようにして求職者の目に留まり、自社へ応募してもらうことができるでしょうか?

これからの中小企業がとるべき求職者へのアプローチについて見ていきましょう

採用メディアのコモディティー化

「予算を割いて採用メディアに採用広告を出してみたけど、結局ひとりの応募もなかったよ」

これは訪問介護事業を行っている企業担当者様の実際の言葉です。

極端な例と言いたいところですが、同様の経験がある企業様は他にもいらっしゃるのではないでしょうか。

費用対効果を考え、ターゲット層に合致したメディアを選択したにもかかわらず、膨大な求職者を抱える採用メディアからなぜ応募がないのでしょうか。

採用広告の質が悪い?それとも魅力的なオファーになっていない?

何れも一つの要素ではありますが、応募に至らないのにはもっと根本的な原因があるのではないでしょうか。

そこで質問です。あなたは自社の情報を事前に発信できていますか?

求職者の応募に繋がらない理由

1.採用メディアで求職者と「初めまして」になっている

求人広告を出す企業が増加する中、求職者は何を基準に自社を選択してくれるのでしょうか。

似たような広告が並んでいれば、知名度のある企業や、事前に情報に触れたことのある企業を選択するのが人の心理です。

山ほどいる母集団の中で、誰かが自社を選んでくれるといった甘い考えは捨てましょう。

2.情報の差別化が難しい

メディアの規格上、ページデザインで差別化を図ることは難しいと言わざるを得ません。

比較可能な条件面(給与や賞与、休日日数、福利厚生など)での差別化についても、余程の資金力やエッジの効いた特徴を出さない限り、その他大勢の中の1社です。

最近では働きやすさを強調した採用キャッチコピーが目に付きますが、どれも同じような表現にならざるを得ないことから、採用広告のコモディティー化が進行しているように感じます。

このように、媒体に掲載した求人広告自体で差別化を図ることは至難の業となっています。

3.採用メディアの役割を誤認している

「求職者への情報提供は採用メディアで伝えているため、自社の採用サイトは必要ない」という声もチラホラ耳にします。

果たしてこれは効率的な方法なのでしょうか?

答えはNoです。

採用メディアに掲載できる情報量は限定的で、求職者の約95%が企業の採用サイトを訪れて必要な情報を入手しています。(図2を参照)

(図2)

あくまで採用メディアの役割は自社の情報への入口であり、求職者の応募動機を醸成する役割ではないということが分かります。

採用広告を成功に導く事前情報発信の重要性

転職活動におけるSNSの活用状況を見てみましょう。

下記の図はIT関連に特化した採用メディアGeekly社による調査結果を示したものです。(図3を参照)(図3)

IT業界に特化したデータですが、SNSの普及状況や活用状況からみて業界別で大きく傾向が異なるとは考えにくく、あらゆる業界の転職活動でSNSの活用が広がると推測されます。

もはや一人ひとつ以上のSNSを使っている状況を鑑みて、知名度や集客力で劣る中小企業こそがSNSで自社の情報を定期的に発信し、自社のプレゼンスを高める努力をするべきです。

転職意識が醸成される前に自社との接点を増やすことが、転職潜在層との間にザイオンス効果(※1)を生み出します。

この事前の情報発信こそが採用広告を出した際の求職者の目に留まるキーポイントとなります。

自社との接点づくりは短期では成果がでません。中長期的な取り組みが必要だからこそ、今すぐ始めるという決断が必要ではないでしょうか。

(※1)ザイオンス効果とは

特定の物事に何度も接触を繰り返すことで関心や好意を持つようになる心理学的効果を指します。

ビジョンの発信が共感と共創意識を醸成する

求職者に対して採用活動で差をつけたいなら、ビジョンを発信してみませんか?

ビジョンは簡潔に言うと会社の目的そのものです。

どんな目的を達成したいのか。なぜそれを達成したいのか。どんなプロセスで達成したいのか。

会社の価値観をどんどん発信してみましょう。

このビジョンと達成までのプロセスが全く同じという会社はありません。

必ず独自の価値観とプロセスが存在し、企業規模や業種業態関係なく唯一無二の差別化要素となり、人を惹きつける最大の魅力となるからです。

この魅力を沢山の人々に知ってもらうことこそが、ここで働きたいという強い動機づけとなり、隠れファンを形成する一番の要因となります。

2024年4月1日の日経新聞に「夢を語り始めた経営者」という見出しで記事が掲載されました。詳しくは日経電子版をコチラからご覧いただけます。

調査した122社のうち121社の経営者が夢があり、それを企業競争力の源泉に世界に打って出るという内容です。

この記事が示す意味は何でしょうか。

まさにビジョンを表明することこそが人々の心を動かし、共感を育み共創意識を醸成する唯一の方法だということ。

そしてVUCAの時代を生き抜くための企業の最大の武器ということではないでしょうか。

最後にもう一度言います。今すぐビジョンを発信してみましょう!

ビジョンを発信する際のポイント

ビジョンを発信することは、採用活動を成功させるための重要な戦略のひとつです。

ビジョンを明確に伝え、共感してくれる求職者を惹きつけ、自社の隠れファンを育てましょう。

簡潔で分かりやすく伝える

ビジョンは誰でも理解できるような簡潔な言葉で伝えることが重要です。

専門用語や長文は避け、誰にでも伝わるような表現を心がけましょう。

具体的なエピソードを入れる

ビジョンを単に言葉で伝えるだけでなく、具体的なエピソードを入れることでより理解度を高めることができます。

社員のインタビューや事例などを紹介することで、ビジョンがどのように実現されているのかを具体的に示しましょう。

定期的に発信する

ビジョンは一度発信すれば終わりではありません。

定期的に発信することで、常に求職者の目に触れるようにする必要があります。

最後に

スキル・経験型採用からビジョンを使った価値観共感型採用へ

これまでビジョンを中心とした情報発信を行うことが、採用メディアの求人広告から自社に応募してもらうための重要な要因となることを伝えてきました。

これまでの採用戦略のように、求職者の母集団を如何に形成するかが重要なのではなく、自社のビジョンに共感し共に働きたいという求職者を選別することが重要となります。

一見効率が悪いように見えますが、共感度の高い求職者は同じ目的意識を持っているため、モチベーションが高く仕事のパフォーマンスを発揮しやすくなります。

ぜひビジョンを発信し、自社に共感してくれる求職者を見つけてください。

ビジョン発信が自社にもたらす5つのメリット

1. 応募者の質向上

  • 応募者自身が企業文化や働き方にマッチしているかどうかを事前に判断できるため、採用後のミスマッチを防ぎ、離職率の低減に繋がります。

2. 採用コストの削減

  • 離職率の低下が見込めることから、広告費や人材紹介会社への手数料を抑えることができます。

3. ブランドイメージの向上

  • 積極的な情報発信により、企業の透明性や信頼性を高めることができます。
  • 魅力的なビジョンを発信することで業界内外からの注目度が高まり、企業のプレゼンスを向上させることができます。

4. 社員エンゲージメントの向上

  • 社員の活動や頑張りが社外に発信されることで、社員のモチベーションや帰属意識を高めることができます。
  • 採用活動への社員の積極的な参加を促進し、採用活動をより効果的に進めることができます。

5. 潜在的な求職者の掘り起こし

  • 従来の求人広告ではリーチできなかった転職潜在層や、自社のことを知らなかった人材へのアプローチが可能になります。
  • より多くの人材に自社を知ってもらうことで、採用チャネルの選択肢を広げることができます。

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電話番号
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執筆者プロフィール

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シミズ

e-Lab Co-cre Producer
広告代理店のWebプロデューサーを経てWEBコンサルティング会社を経営。
後に領域を超えて事業再生やM&Aを経験した後にGBSへと合流し、事業戦略の策定からWeb戦略との連携まで一貫したサポートを行う。
自然をこよなく愛し、マニアックな散策路の探索が趣味。