【新卒採用】内定者フォローの目的と9つの実施方法

採用市場の厳しさが増す昨今、採用への考え方は大きく変化しました。令和時代は、企業が人材を選ぶ時代から、企業が人材から選ばれる時代になったのです。


若手社員には、転職は当然の選択肢のひとつであると認識されています。こういった背景を証明するように、年度の始まりには、内定辞退や入社直後の離職がメディアで大きく取り上げられました。こうした新卒採用の課題にはますます注目が集まっています。

新卒採用の課題解決には、内定者フォローが重要です。単に新入社員に情報提供するだけなく、さまざまな不安を取り除くためのサポートが必要だからです。

この記事では、内定者フォローの目的や実施方法について紹介し、採用でお困りの方の手助けができればと思います。ぜひ最後までお読みください。

内定者フォローの目的は内定者の不安を取り除くこと

内定者フォローの一番の目的は、内定者が安心して働き始められるように不安を取り除くことです。

採用プロセスにおいて内定者が離脱してしまう一番の要因は、不安です。不安の種類はさまざまで、大きさや多さも人によって違いますが、不安が最も強くなるのは「内定出し前後」と「入社前後」です。

この時期に適切に内定者フォローができていないと、離脱が増えてしまいます。

内定者の視点に立って考えて見ると、就職活動をもっとも活発に行うのが2月~5月です。大半の学生はゴールデンウィーク前に就職先を決めます。

つまり、実際に出社して働き始めるまで1年前後の期間があります。この期間に企業からなにもフォローがないと、働くことへの不安や将来への不安が強くなりすぎ、離脱を招いてしまう恐れがあります。

こうした事態を防ぐためにも、しっかりと内定者フォローを行いましょう。

以下は、内定者フォローが持つ効果をさまざまな面から紹介します。

生活環境適応への支援

内定者フォローは内定者が新しい環境に慣れるための助けになります。

新卒社員は、学生から社会人への大きな転換期を迎えます。このタイミングで一人暮らしを始めたり、地元を離れる人も少なくありません。生活習慣が変化すると、心身の負担が大きくなるため、内定者は不安定になりがちです。

企業が業務に関することだけでなく、日常生活や心理面でのサポートも提供することで、内定者は安心して新生活を始められます。企業への信頼感を高める効果も期待できるため、適切にサポートしていきましょう。

必要なスキルや知識の習得

内定者フォローを通じて、業務に必要なスキルや知識を提供できます。

新卒社員は実務能力や業界理解に乏しいため、初めての業務に対する不安や疑問が多くあります。「自分にこの仕事が務まるだろうか?」という不安を抱えている新卒社員は多くいます。不安や疑問を口に出せずに苦しんでいる方も少なくないでしょう。

業務への「わからない」という不安を解消するには、必要なスキルや業界知識の体系的な学びをサポートしていくことが有効です。個々の特性に合わせて、コミュニケーションを取りながら、業務について理解してもらうと良いでしょう。

メンタルサポートの提供

内定者フォローを通じたメンタルサポートは特に重要です。

新しい環境に適応する過程で、精神的なストレスやプレッシャーを強く感じて体調を崩す新卒社員は珍しくありません。特に人間関係は業界や業種を問わず、一番の不安の要因です。上司や先輩社員とうまくやっていけるか不安に感じている内定者は非常に多いです。

企業全体で心理的安全性に配慮したコミュニケーションの取り方を学べると良いでしょう。社員のメンタルヘルスを維持し、安心して働ける環境作りをしていく姿勢を見せることは内定者フォローにおいても重要な考えです。

キャリアパスの明確化

内定者は入社後の未来像がわからないと不安を募らせてしまいます。

長期的に活躍してもらうためには、キャリアパスを明確にし、将来像をイメージしてもらうことが重要です。社員一人ひとりの目標を定め、それに基づいた成長計画を企業が一緒になって取り組めるようにサポートしましょう。

新卒社員のモチベーションをフォローアップすることは、将来的なリーダー育成にもつながります。

定着率の向上

効果的な内定者フォローが直接影響してくるのが社員の定着率です。

新卒社員の定着率は3年で70%程とよく言われますが、人材の流れが激しい昨今においては、常に効果のある施策を実施していけるよう努める必要があります。

新卒社員のフォローアップは、定着率の向上・維持のために必要不可欠です。職場に対する満足度を高め、長期的に働き続けたいと思えるような環境を整えていきましょう。

内定者フォローの方法を9つ紹介

内定者フォローの重要性がわかったところで、ここからは具体的な実施方法を紹介していきます。簡単に導入できるものもありますので、「自社でも取り入れられそうだ」と感じたものはぜひ実施してみてください。

1.定期的なコミュニケーション

内定を出してから入社までの間に、メール、チャット、電話などで、定期的にコミュニケーション取りましょう。この期間は内定者の気持ちが不安定になりがちです。定期的に連絡を取ることで、変化を素早くキャッチし、適切なフォローを実施できるようになります。

ただし、あまり頻繁に連絡しても逆効果ですので、頻度は月に1回を目安すると良いでしょう。

不安を取り除く効果は大きくはありませんので、これから紹介する他の方法と合わせて実施してください。

2.内定者向けイベントの実施

入社前の段階で内定者同士が交流できるイベントは、内定者同士の結び付け、業務へのモチベーションを高めます。軽食や飲み物を提供したリラックスできる雰囲気の内定者懇親会などを実施できると良いでしょう。

先輩社員にも参加してもらうことで、入社前から社風や社員の人となりを知る機会となり、人間関係への不安を和らげます。

3.先輩社員との面談

個別に先輩社員と面談する機会を設けることも良い内定者フォローです。集団でのイベントでは聞けないようなこともじっくりと話せるため、内定者一人ひとりの関心に合わせてコミュニケーションを取れます。

注意しなければならないのは、面談の目的設定や適切な人選が欠かせないということです。面談を設定する際は、対象となる内定者のどのような不安を取り除くかに焦点を当てて準備をしましょう。

面談の目的によって、対応する先輩社員も異なります。大きく分けると以下のような傾向があります。

先輩社員内定者にとってのメリット
若手の先輩1年後や2年後の姿を想像できる
一緒に働く先輩具体的な仕事の内容を聞ける
別の部署の先輩直接の上司や先輩よりリラックスして話せる
中途入社の先輩業界全体や、他社との比較を交えた話が聞ける

4.人事面談

内定者によっては、会社の規則や契約についてよくわからず、不安に感じている方もいます。人事面談では、雇用契約や評価制度など、従業員としてよく理解する必要のある重要な内容を丁寧に伝え、内定者の理解を助けます。

自社独自の福利厚生の説明もすることで、社風を感じ取ってもらえる機会にもなるでしょう。

5.営業同行や現場見学

可能であれば、営業同行や現場見学を通じて、実際に働く姿を見てもらうことが、内定者の不安を取り除く一番の方法になります。

先輩社員の理解や協力は不可欠ですし、情報の取り扱いに充分な注意が必要であるため、気軽に実施できる方法ではありませんが、業務の魅力や大変さをダイレクトに伝えらえます。

6.オフィス見学

オフィスを見学してもらうことは、気軽に実施できる方法のひとつです。実際に働く環境や働いている姿を見てもらうことで、内定者自身に働くイメージを持ってもらいます。

コロナ過以降はオンラインでのオフィス見学を取り入れる企業が増えました。地方在住の内定者も参加しやすいというメリットがあります。

7.ミーティングへの参加

社内のミーティングに参加してもらうことも内定者フォローの方法のひとつです。内定者によっては社会人のミーティングには、厳格なイメージを持ち、不安を感じる方もいます。実際にミーティングを見てもらうことで、不安を取り除く効果が期待できます。

8.メンター制度の導入

メンター(mentor)は、「指導者」や「助言者」といった意味があります。内定者フォローにおいては、内定者と年齢が近い若手社員をメンターとして任命し、入社後も相談や精神的にサポートします。

直属の上司ではなく、他部署の先輩をメンターに任命することで、業務を始めた後もいろいろと相談しやすくなります。

また、内定者だけでなくメンターの成長も期待できる面もあります。

9.内定者アルバイト

業務の一部を切り出して内定者に作業してもらいます。実際に一緒に業務をすることで業務への理解や先輩社員とのコミュニケーションが促進されます。

内定者フォローの具体的な事例紹介

内定者フォローの具体的な事例について、弊社での取り組みを紹介いたします。

成功事例

弊社では毎年内定者を招いて内定式を開催しています。役員を含む先輩社員も参加し、セレモニーと社会人基礎研修の後、食事会が開かれます。食事会では全員で協力してカレーを作るのが恒例です。

学びも交流も得られる機会として実施し、内定者が安心して入社できるようにフォローしています。

失敗事例

こちらも弊社の事例になります。以前、内定後にLINEグループを用意し、内定者同士や先輩社員とコミュニケーションを取れるようにしたことがありました。

しかし、グループチャットでは内定者からも先輩社員からも発言がしにくく、特に悩みの相談は難しいという意見があり、効果的な内定者フォローとは言えない施策となりました。

良かれと思った方法が必ずしも効果的とは限らないので、アンケートやヒアリングを通じて内定者フォローの方法は常に改善していく必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか? この記事では内定者フォローについて紹介しました。

内定者フォローで重要なことは、内定者の不安を取り除くことでした。実施方法は簡単に取り組めるものから、準備が大変なものまで、さまざまな方法がありました。

自社にあった方法を取り入れ、改善を繰り返しながら実施することが重要です。まずは定期的なコミュニケーションを実施するなど、簡単に取り組めることから始めてみましょう。

我々イーラボ!では内定者フォローについての相談や、施策の提案も承っています。内定者フォローについて検討している方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事がお役に立てば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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執筆者プロフィール

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ムライ

e-Lab Web Directer / イーラボ! Project Leader
IT業界未経験ながら入社半年ほどで、新規事業の立ち上げメンバーに抜擢される。
ライター経験もあることから、イーラボ!では編集長を担当。
休日は格闘技観戦と麻雀。